痔には3つのタイプがある
痔核(いぼ痔)
痔に悩むヒトの約半分が痔核
痔核は、できる位置によって、歯状線より上のものは内痔核、下のものは外痔核と呼びます。痔の中でもっとも多いのは内痔核です。
クッションの役割を果たす内痔静脈叢や外痔静脈叢と呼ばれるたくさんの血管の集まりが、うっ血してふくれあがったり、それを支える組織が弱くなって肛門の外に飛びだしたりします。
排便時の負担や老化、便秘や出産、スポーツによるいきみなども、悪化の原因になると言われています。

【症状】
- 排便時に、血が出た
- 排便後、便が出きっていない気がする
- 肛門に、違和感がある
- 肛門のまわりに、イボがある

point!
内痔核は、動脈が通っている3カ所(3時、7時、11時の方向)にできやすくなります。



内痔核はこうやって進行する
前段階
排便時のいきみなど肛門に負担がかかると、内痔静脈叢がうっ血して、ふくらみます。誰でも多少は肛門に負担をかけているもの。内痔静脈叢もある程度ふくらんだ形をしているのが普通です。
しかし、便秘など、肛門への負担が続くと、だんだんと内痔核へと進行していくのです。

Ⅰ度:おしりから血が出た!
クッション部がふくらんで、痔核ができます。
排便時のいきみによって負担がかかり、出血するようになります。歯状線の上にできるので、痛みを感じないのに、比較的多量の出血があるのが特徴。

Ⅱ度:おしりから何か出てきた!
痔核を支える組織が弱くなり支え切れなくなって、排便したときに、痔核が肛門から飛び出します。
痛みはありませんが、排便時に出血することもあります。飛び出た痔核は自然にもとに戻ります。

Ⅲ度:指で押し込まないと戻らない!
排便時に痔核が肛門から飛びだして、指で押し込まないと肛門内に戻らなくなります。運動をしたり、重いものを持ったり、おなかに力を入れたはずみで、痔核が外に飛びだすようになります。

Ⅳ度:指で押し込んでも戻らない!
痔核を指で押し込んでも戻らず、いつも外に出たままになります。刺激で粘膜の分泌液が増えて下着が汚れたり、肛門のまわりがかぶれてかゆみを起こしたりします。出血はおさまることもありますが、重症度としては最終段階。
痔核の多くは、痛みがほとんどないため、病院に行くきっかけをつかめずに、放っておいてしまう人も多いよう。でも、気づかないうちに、痔核はだんだんと大きくなっていってしまうのです。

激しく痛む痔核もある
血栓性痔核
肛門のまわりにあずき大の黒っぽい硬いイボができて、ズキズキと激しい痛みを起こします。これは、歯状線より下の静脈で血が固まって血栓ができた状態。特に前兆やきっかけがなく、突然起こることもあります。また、テニスやゴルフなどのスポーツや排便時に強くいきんだのがきっかけで症状が出ることも。
座るのもつらいほどの激痛に襲われますが、坐薬や軟膏などを使い、患部を温めることで、数日間で痛みは和らぎ、1ヶ月ほどで血栓は吸収されてなくなります。

嵌頓(かんとん)痔核
内痔核と外痔核が腫れ上がり、もとに戻らなくなって、泣き叫びたくなるほどの激痛があります。痔核の内側に、血栓がたくさんできている状態です。
坐薬や軟膏などを使い、患部を温めることで、1~2週間で痛みや腫れが治まります。
血栓が吸収されて腫れがひいても、痔核自体はなくなりません。痛みや腫れが治まってから、その後の治療を判断します。
