い~じ~net

痔の基礎知識

痔かもしれないとお悩みのあなたへ。
痔の仕組みについて詳しくご説明いたします。

トップ > 痔の基礎知識 > 保存療法で効果がなければ、外科的療法を

保存療法で効果がなければ、外科的療法を

症状に合わせて、治療方針を決定します

保存療法を続けても痔核からの出血が改善されない場合や、痔核の脱出をくり返す場合には、外科的療法が必要になります。
痔核の大きさや位置、重症度など、痔の症状はひとりひとり違いますので、どの治療法を選択するかは、症状に合わせて、主治医とよく相談して決めることが大切です。

出血をくり返す内痔核

出血する内痔核を改善する硬化療法(フェノールアーモンド油)

注射により、痔核を硬化させて出血しにくくします。

硬化剤を注射することで、出血を改善する治療法です。
ほとんど痛みもなく、外来で処置できる方法です 。

内痔核の内部

内痔核の内部に硬化剤(フェノールアーモンド油)を注射する

  • 【メリット】
    • 短時間で、日帰りで治療できます
    • 痛みもほとんどありません
  • 【デメリット】
    • 脱出する痔核には効果がありません
    • 薬の効き目があまり長くありません
    • 治療をくりかえすと、だんだん効果が弱くなります

脱出する痔核

痔核は、できる位置によって内痔核と外痔核に分けられます。
歯状線より上の、痛みを感じない部分にできるものを内痔核、歯状線より下にできるものを外痔核と呼びます。歯状線より上にできた内痔核は、はじめは内痔核のみで脱出しますが、さらに進行すると、外痔核をともなうようになります。

内痔核と外痔核
内痔核のみの脱出
ゴム輪結紮療法

内痔核をゴム輪でしめつけて壊死させます。

ゴム輪で痔核の根元を縛って血流を止め、痔核を壊死させる方法です。
内痔核は神経がないため、痛みはありません。1~2週間で痔核がしぼんでゴム輪とともに脱落し、便にまじって排出されます。
出血もなく、外来でもできる方法です。痔核の状態によっては、ゴム輪がうまくはまらないこともあります。また、外痔核をともなう場合には向きません。

ゴム輪結紮療法

結紮器という特殊な器具で痔核をつまみ、根元にゴム輪をかけて縛る

ゴム輪結紮療法

痔核への血流が途絶え1~2週間で壊死してゴム輪と一緒に脱落する

  • 【メリット】
    • 短時間で、日帰りで治療できます
    • 痛みもほとんどありません
  • 【デメリット】
    • 粘膜がかたくなっているときや、外痔核をともなうときは治療できません
半導体レーザー

レーザーで内痔核を固めて小さくします。

レーザーで内痔核を固めて縮小させる方法です。痛みを感じない内痔核に使われる方法です。周囲を傷つけることのない安全な方法で、日帰りまたは短期の入院で処置できます。外痔核をともなう場合には向きません。結紮切除術やゴム輪結紮術などと併用することもあります。
現在では、あまり実施されていない治療法です。

半導体レーザー

痔核に特殊な色素を注入したあと、レーザーを当てると、色素の入った部分だけが、凝固して小さくなる

  • 【メリット】
    • 短時間で、日帰りで治療できます
    • 痛みも少ないといわれています
  • 【デメリット】
    • 外痔核をともなう場合には治療に不向きです
    • 専用の半導体レーザー器具のある施設でないと実施できません
脱出する痔核を改善する硬化療法(ALTA療法)

注射により、痔核を小さくし、癒着・固定させて脱出を改善します。

硫酸アルミニウムカリウム水和物、タンニン酸(ALTA)を主成分とする硬化剤を注射することで、脱出や出血を改善する治療法です。痛みや出血がほとんどなく、短期間の入院で処置できます。
(治験段階のデータでは)結紮切除術に比べて再発率が高く、今後の検討課題となっています。
新しい治療法のため特殊な投与技術が必要であり、決められた手技講習会を受講した専門医しか実施できず、まだ実施していない医療機関もあります。

ALTA療法

痔核に硬化剤を、1つの痔核に対して4ヶ所に分けて注射する

ALTA療法

痔核へ流れ込む血液の量が減り、出血が止まる。脱出も軽くなる

ALTA療法

痔核が次第に小さくなり、脱出が見られなくなる

脱出する痔核を改善する硬化療法(ALTA療法)くわしくはこちら

内外痔核をともなう脱出
結紮切除術(半閉鎖法)

全ての痔核に適応される、痔核の治療の基本となる方法です。
痔核を切り取って傷口を縫い合わせます。
現在、痔核の治療の主流となる方法です。痔核の大きさや形、位置などに柔軟に対応できるため、肛門への負担を最小限に抑えることができる方法です。外痔核をともなって脱出する内痔核も処置できます。
痔核に血液を送っている血管を縛ってから、痔核を切り取ります。
術後しばらくは排便時に痛みがあります。安全のため、10日前後の入院を要する施設が多いようです。

  • 【メリット】
    • どんな痔核に対しても治療できます
    • 根治性がもっとも期待できます
  • 【デメリット】
    • 一般的に、治療に時間がかかるため入院が必要です
    • 手術後は排便時に痛み、そして場合により出血がある場合があります
結紮切除術

痔核をはがしとるようにして切除していく

結紮切除術

痔核に血液を供給している血管を縛り、痔核を切除する

結紮切除術

切除したあとの傷を、肛門の外側を残して縫いあわせる

PPH

全周的な痔核の余剰な直腸粘膜を特殊な器械で切り取って引き上げます。

特殊な器具を使って直腸粘膜を環状に切除して縫い合わせ、垂れ下がった痔核や粘膜を吊り上げる方法です。痔核が全周的に脱出していて切除が難しいときに行われます。
比較的新しい治療法であるため、今後、長期的な経過の評価が必要とされる方法です。

  • 【メリット】
    • たれ下がった粘膜が、本来の位置につり上げられます
    • 手術後の痛みが少なくてすみます
    • 痔核が全周的に脱出していて、切除手術が難しいときでも対応できます
  • 【デメリット】
    • 外痔核には効果がなく、すべての痔核に向いているわけではありません
    • 治療効果がいつまで続くかという、長期的な経過は不明です
PPH

特殊な器具で、たるんだ粘膜を環状に切除してから縫いあわせる

PPH

垂れ下がった痔核や粘膜が、もとの位置に戻る

腫れて激しく痛む痔核

痔核が腫れ上がって激しく痛むときは、まずは安静にして、患部を温めて血行をよくしたり軟膏や坐薬などの薬を使ったりして、腫れをひかせることが第一です。腫れ上がって大きく脱出しているように見えても、腫れがひいたら痔核自体は小さかったというケースもあるので、外科的療法を考えるのは、腫れがおさまってからでいいでしょう。

激しく痛む痔核について見る

痔の基礎知識トップへ